VATE:なるほど。
お客さんがこの紙も刷れるか?って楮紙(こうぞし)を持ってきたとしますよね。楮紙って、刷っても綺羅にはならないから、「これは、絶対に綺麗にはのらないですよ。」っていうんですけど、じゃあ綺麗にのせるためにはどうする?みたいな話しになって。
VATE:うんうん。
とりあえず鳥の子で裏を裏打ちしてやると水も表面的には吸うけど、鳥の子は止めてくれるし、紙も分厚くなって扱いやすい。紙の表面は硬度な繊維の粗さが残るから、そんなんで作ったら出来るかもしれないですよね。じゃあ、見本に一回裏打ちしときますって。刷ってみたらきれいに刷れるんですよ。
VATE:リクエストがあって、それに応えていくという感じですね。
柄もリクエストを受けて、ちょっと考えますって。柄をモチーフに文様を起こしてみたらどうでしょう、とか。
VATE:文様は嘉戸さんがデザインするんですか?
そうですね。ゼロからデザインする場合もあるし、お客さんから具体的なものを示されて、それを形にする場合もあります。
VATE:それこそ、お客様が先、ですね。
でもそれが多分本来の在り方だと思うんですね。それはちゃんと表具屋さんが襖を引き取ってきて、縁を抜いて和紙をはがして、裏うけをつけ直して、表に唐紙を貼ると。縁打ち直して、地合わせをしてまたもとの部屋に納めると。それが僕の中ではベーシック、基本になる仕事だと思っていて、それが楽しいんです。そういうのをひとつずつこなしていきたいと思ってます。
VATE:職人的な挑戦ですね。なんだか、すごく職人としてのベースに戻っている感じがしますね。
なぜ和紙を使うのか、木版なのか、雲母刷りなのかって、上を向いたら多分よくわからないと思うんです。ちょっと真っ赤にしてみたりとか、そっちの方が本来なんじゃないかな、と。
VATE:新しい事や、ここから進んでいくために、そもそもの本来的なところに目を向けてるって事なんですね。
そうだと思います。