2013年公立塾の取り組み紹介

VATE:島に移住したからこそ、東京でやっていた事が軽く思えたという事なんでしょうか?

 

いや、そうではないんです。軽く思えたとかではなくて、自分の考え方や、地方の人との接し方が良くなかったかなという感じです。自分自身…特に自分自身の反省ですね。

 

VATE:豊田さん自身にそういう気づきがあったということですね。

 

そうですね。画一的な価値観ではなくて、自分たちではない人が見るとどう見えるのか。気持ちを寄せられるか、多様な価値観を認めるということが足りなかったという反省ですね。今まさにそれが大事だと思っていて。そういう子どもたちを育成していかなければいけないと思います。

 

VATE:豊田さんはいつまで島におられるつもりですか?

 

一番答えづらい質問ですね(笑)。いつ出たいとは今、思ってないというのが答えかな。

 

VATE:すごく素直にそう思われているんですね。いま現在の豊田さんの将来の夢はなんですか?

 

やっぱり「地域×教育」という部分で本当に地域が自立できる、そういうモデルをつくりたいと言うと烏滸がましいけれども、当事者としてそういう事例を作ったりやはり結果を出してその結果、今までは地域を元気にしようとは思えなかった人たちの気持ちが変わって、日本のいろんな地域が元気になっていく。そういう社会をつくるというのが夢ですね。あと、出来ればやはり故郷の大牟田に貢献したいです。いまは自分の子供をこの島で育てたい、という想いが強くあるのでやっぱり残って、この島でやりたいと思う気持ちがあるんです。ただ一方でもし何か故郷のために自分がプラスになれるのだったら、帰って向こうで働くという選択肢もあるし、帰らなくともいろんな関わり方が出来るとは思っています。そういう事は生徒たちにも常に言っているので自分自身、体現者でありたいと思ってます。

 

VATE:すごく夢のかたちがクッキリしていますね。

 

でもやっぱり模索中ですよ。故郷に対して何かやりたいということと、いい社会を作ること。個人的には、いろんな過疎地域と言われているところや、人口が減少していてもうこのままじゃ駄目だ、みたいな地域がちゃんと自立して活き活きとして、そこに住む人たちが多少なりとも幸せを感じて生きていけるような社会をつくりたいです。

 

VATE:実際に住んでいるからこそ、クッキリしているのかもしれませんね。

 

東京にいた時は自分が主語だったんですが、今はそうではない事が主語になってきた感じがします。前は自分は坂本龍馬になりたいと思ってましたけど、今はやっぱり吉田松陰というか。坂本龍馬みたいな人やそういう幕末の志士みたいな人たちが活躍して、社会をよりよく出来るような、社会にいい変革を起こせるような人材をやっぱりこの島から出したいと思うから、島で学ぶ子どもたちには活躍して欲しいと思います。

 

VATE:そのため島の高校が存続していかないといけないですよね。

 

それはもちろんそうなんですが、子供の数、高校の存続がどうこうではなくて地域が存続出来るかということが本質だと思ってます。そのためにはやはり最低限の若者、20代30代の人たちが必要になってくるし、そういう人たちをちゃんと作っていく。そのための雇用を生んでいく。その人たちが子供を育てたいと本気で思えるような教育や医療を作っていく。それが本質だと思います。そうなると子供の数がいなくて大変だ、ということにはまずならないと思うんですね。