VATE:少し話はもどるのですが、ウィル・シードに入社される直前というのは精神的にも大変だったのではないですか?
ウィル・シードに入る直前はパン屋さんにパンの耳とか貰って食べたりもしてましたけど、でもその当時も自分は今すごい大事な時期なんじゃないかと思ってましたよね。
VATE:大事な時期と言いますと。
その直前までは景気が良かったし、後輩や女の子にガンガン奢ってました。男は羽振りよくて当たり前、みたいなものがあったので金銭感覚も麻痺してましたね。だから、あのまま起業しなくて良かったと思います。やっぱりどん底の体験をしたというのは、すごく強いと思っているし、当たり前なんですけど後から振り返ってみると、そういう苦しい体験が自分を作ってくれたんだな、とポジティブに思えるんです。
VATE:豊田さんが故郷を強く想い続けておられる源泉は何なのでしょうか。
地域に育ててもらった、というキーワードがすごく好きなんです。自分が故郷、故郷の人に育ててもらったという感覚を持っていることが源泉なのかもしれないですね。
VATE:地域に育ててもらった、ということを感じられない人もいるかと思いますが、なぜ豊田さんはそう思われたんでしょう。
近所の人たちとずっと話をしたり、子ども会に参加したり、神輿を担いだり。よくわからないですけど学校の先生もすごく良い方が多かったので、 学校の先生に良くしてもらったという経験も、自分の中では『地域に育ててもらった』に繋がってるのかもしれません。
VATE:なるほど。
あと父親の影響もあるかも。喫茶店をやってたんですが、地域で一番悪かった不良たちの溜まり場みたいになってて、更正させたりだとか、あんまり悪い遊びをしないように見守ってたりだとかね。
VATE:不良の人たちからは何か言われました?
やっぱり喫茶店に来ていた人たちからは、お前の父ちゃんのおかげで悪い道に進まなくて済んだ、すごく感謝してる、みたいなことは言われましたね。今から思えば、故郷を元気にしたいみたいなことは父親も思ってたのかもしれないです。よりその時の感覚に近い言葉でいうと、故郷のためというよりは、故郷に住んでいる、僕が知っている人の為にみたいなことですかね。具体の人がいたというか。