VATE:評価が厳しくなると、教育に対するモチベーションが下がったりしなかったですか?
ないない。ないです。単なる人事の評価、受講生の評価だけだと捉えてしまうと、ちょっと鬱っぽくなったかもしれませんけど、僕が根底に持っていたのは、ここで良い研修をすることが出来たら、それは社会を良くすることに繋がるんだと信じていたからなんです。
VATE:なるほど。
本質的に教育や研修って、それを受けた人がやる気になったり、パフォーマンスが上がって、その向こう側にいる一緒にプロジェクトをやっているメンバーだとか、いろんな人にいい影響を与えたりするものだと思うんです。いい商品が世に出る、というのも社会を良くするということだし、そこに間接的に関われてるんだということが感じられた時は、自分がもっと頑張れば社会は少しでも良くなるんだと。そういう意識で臨んでいましたから。
VATE:それは素晴らしい視点ですね。
国交省の研修もさせて頂いたんですが、ひとりひとりの受講生が国の中枢になっていく人たちなんです。自分は大した事は出来ないけど、ここで素晴らしい研修が出来たら、まさに国のために、間接的にですけどプラスになる事が出来るんだと。そう思うとやはりものすごく準備をしますし、自分のスキルを上げようと思いますよね。
VATE:それだけ充実されてる豊田さんが、東京からこの島根県・海士町に移住されたわけなんですが、その経緯を教えて下さい。
現在この海士町にいる岩本悠という男とウィル・シード時代に知り合いまして、彼の名刺に「地域×教育」みたいな事が書いてあったんですよ。それで興味を持って、東京で何度か一緒にグループワークやワークショップをやったりしてたんですね。なんですが、しばらく見ないなあと思っていたら、海士町という島に移住したらしいと。
VATE:それで連絡されたんですか。
そうですね。それで彼から「一度島に授業をしに来て下さい。」と言われたんですよ。会ってまだ1年とか2年後だったかな。それでこの島にある高校・中学に授業をしに来たのが、この島との出会いですね。
VATE:その時の島の印象はどうでしたか?
島の窮状もそうですが、島にある高校を存続させるための高校魅力化プロジェクトという話や、多様な教育をする塾の話なんかを聞いたんですね。 そのプロジェクトに加わってみないかってお誘いも受けて。それを聞いた時は大変そうだなあと。頑張って下さいと(笑)。で、丁重にお断りしました(笑)。
VATE:あははは。
僕は違う分野で、もっと日本全体の自治体を回りながらそっちで頑張ろうと思っていたんですね。各自治体の方々との関係性も出来始めていた時だったので、島に来ようとは全く考えてなかったですね。