VATE:そう言われても困るような・・。
でも本当に言うんですよ。例えば、好きなワインでもすごくいいと思うんですけど、この値段でこういう地域のワインというのは、どうしても悪い部分があります。どうしても要素の中によくないネガティブな要素が混じっているんです。そこはもう許してあげて下さい、とかね、そういう言い方をしているんです。
VATE:悪い部分というのは、美味しくないってことなんですか?
美味しくないものは絶対出しません。でも、美味しいけどつまらないワインっていっぱいありますよね。
VATE:美味しいけど、つまらない?
美味しいけど、偽物。それは実は人工的に、人がこねくり回して作っているワインです。それで上手にまとめてきている。僕は嫌いですと言って出します(笑)。
VATE:それをする理由ってなんでしょう?
グラスワインにそんなに高価なものを求めてない人も沢山おられます。そういう人にもやっぱりワインを出さないといけない。ちょっとだけ自分のその、曲げてというか、我慢して出している部分はあります。
VATE:これだけ柳野さんのポリシーが反映されているお店だと、
その感覚に近いお客さんが多いわけですよね。
そう感じますね、常連さんもそうですし。常連さんは一番の土台を支えてくれていると思うんですけど、でも常連さんだけでは商売は成り立たないって、十年間でよくわかりました。ものすごく感謝していますけど、間口を広げたりはしてますね。
VATE:これからはどんなことをされていきたいですか?
スタッフも育ってきたので、そろそろ僕も真剣に料理とワインにもっと集中させてもらおうかなあと。カクテルもオリジナルとかあるんですけど、整理してないんですよ。こういう時に、こういう人にこういうカクテルをってちゃんと整理したいんですよ。
VATE:オリジナルカクテルですか。
そろそろオリジナルカクテルに名前をつけてもいいかなぁとかね(笑)。あれ恥ずかしいんですよ。なんか詩を人に読ませる、みたいな感じですからね。
VATE:自分をさらけ出しているわけですよね。
自分の想いに、テーマにそってお酒を組み立ててシチュエーションや季節を考えて、本当に詩なんですよね、ポエムなんですよ。その題名をつけるみたいで恥ずかしいんですよ(笑)。
VATE:でも題名も大事ですよね。
十数年もやらしてもらっているし、そろそろ僕のオリジナルの何何です、という風に言ってもいいかなと思ってきたんです。バーテンダー柳野として、そろそろちょっと自分の仕事に戻らせてもらって、という時期ですかね。