1900年頃のバカラ

VATE:お酒のことはどうやって勉強されたんですか?

 

本当にそれもいい出会いがあって。僕には師匠と呼べる人が2人いるんです。

 

VATE:一人は骨董屋さんですよね。

 

そうですね。その人には視覚、ビジュアル面を徹底的に鍛えてもらったんですよ。今は古美術商ですけど、もともと写真やグラフィックデザインをやっていて、その後に骨董に出会って骨董屋に転身されたんです。なので、ビジュアル的な事に関して、すごく厳しく鍛えてもらいました。

 

VATE:そしてもう一人は?

 

骨董屋さんの師匠に紹介して頂いた方で、八百屋さんなんです。

 

VATE:八百屋さん?

 

骨董屋の師匠が、その八百屋さんに最初のバーを宣伝してくれて、来てくれたんですね。入ってきた時、もうすでに怪しんでるわけですよ。オーダーもすごく悩まれていて、とりあえずカシスソーダって(笑)。

 

VATE:カシスソーダが美味しくない事は滅多にないだろうと(笑)。

 

そうなんです。その人から見るとひどい店なんですよね。その方は逆にビジュアルなんか結構どうでもいい人なんですよ。どっちかと言うと、とにかく中身!の人だったので。その方からすると、カシスソーダすら美味しくない、ひどい店だと。

 

VATE:そうだったんですね。

 

でも少しお話したら、何かを感じてくれたみたいで、もしお酒をこれからも続けていくんだったら、もっとこういうところがあるから、飲みに行きなさいと教えてもらったのが京都のとあるバーだったんですよ。

 

VATE:有名なお店ですよね。

 

ええ。でも僕は行った事があったんで、そう言ったら、何飲んだの?って聞かれて。答えたんですけど、それには何も言わずに店が終わったら連れていってあげるという事になったんです。

 

VATE:それでどうなったんですか?

 

京都のバーテンダーで有名な方がおられるんですが、まずはその方を紹介してもらったんですね。それで何かこいつに美味しいものを飲ませてやってくれと。

 

VATE:何を出していただいたんですか?

 

シングルモルトのウイスキーを薦めてくれたんですが、それが今まで僕が飲んでいたレベルを遙かに超えてるシングルモルトなんですね。なんやこれは!?って。