VATE:音楽の道は考えられなくなったわけですね。その後は?
その頃、小さい飲み屋さんが沢山入っているような薄暗いスナック長屋の中にすごく素敵なお姉さんが一人でやってるお店があって、そこによく通ってたんですよ。
VATE:よくありますね、そういうお店。
その当時は本当に景気が悪かったんで、テナントもガラ空きで、冗談半分でお姉さんに「隣、空いてるから店やったら?」って言われていたんです。
VATE:それでその気に?
最初は笑ってたんですけど、ほんまやなと思って。自分が今まで集めてきたそばちょことか古伊万里の皿とか、そういうのを使ってバーとかやったらいけるんちゃうかなって(笑)。
VATE:けっこう楽天的ですね。
その時は日本酒が好きで、シングルモルトとかにはまりだした頃で。箱もすごく小さいし敷金礼金とか家賃を考えても、こけてもまあ捨てれる額かなと。
VATE:といっても、それなりに大きな金額ですよね。
親にももちろん相談したんですが、骨董屋の師匠にも相談したら、お~!面白いやん(笑)って。内装も面白くしようって。
VATE:師匠、すごいですね。
師匠は行け行けみたいな感じだったんですが、親は反対でしたね。特に父親は本当に怒りました。大学まで出してやったのに水商売やんのかって。人を酔わせてお金をとるなんて最悪だ、と。
VATE:そんなに反対されたんですね。
そうなんです。でも、うちはちゃんと美味しいお酒を作って、いい空間で、と頑張って説得しました。それで97年に開店したんですね。
VATE:そんな簡単に開店して大丈夫なんですか?ほぼ素人なわけですよね。
そうですね。バーをナメてましたね。お酒ってパッと混ぜて、別にどこでも大差ないものだと思ってました。