VATE:(笑)。
どんなヤツや、どんな事務所やっていう話がずーっと広まっていて、「どんなデザインしてるか、一度行ってもいいですか」って話だったんです。
今まで作ったものも全て見せてね。そしたら、実はグリコの仕事を今やってる。一緒にやってもらえますかって言われたんですよ。
VATE:いきなりビッグクライアントですね。
こちらにしたら願ってもないことですよね。そんなクライアントやったことないし(笑)。そして仕事をやらせて頂いた。すごく上手くいきました。
VATE:素晴らしいですね。デザイン工場から方向転換されたこともうまくいったんですね。
ええ。ですが仕事の後、ディレクターから電話があって「言いにくいんだが、ちょっと請求書をあるプロダクションに回して欲しい。」と言ってきたんです。というのも、ある決まったところ以外に仕事が出しにくいシステムになっていたんです。
VATE:なるほど。
なので、そのプロダクションに伝票だけ通して、みたいなことしてくれ、と。支払う金額は同じだから。
VATE:名目上ってことですよね。で、その通りにされたんですか?
僕はね、「イヤだ。」と言ったんですよ。ちょっとおかしい。僕はあなたを信用して、あなたと一緒に仕事したんだから、あなたの会社からデザイン料をもらうのが普通だから、と。だから・・・「そんなんやったら、もうええわ!」と。
VATE:(笑)。すごいですね。
若かったからね。
VATE:もうええわってどういうことですか。
もういらんてゆうことですよ(笑)。
VATE:大きいギャラですよね。
でもね、そんなのは本当と違うと思ったんですよね。
VATE:それでどうなったんですか?
ところが、そのディレクターはすごい人で、言うことは分かったと。僕の力でどうなるかわからないけど、まず時間をくれ、と。
半年かかるかどうかわからないけれど、やってみる。奥村さん、良いですかって言うので、「うん。」って。
僕はもう貰わないと思って今決めたんだから、何でも好きにしてって言ったんですよ。