VATE:それぐらいお商売的には順調だったんですね。
でも違う、というのが分かった(笑)。
VATE:会社にしてしまうと経営をしないといけないですよね。
そうすると実際に自分がデザインするということの時間を確保出来ないんじゃないですか?
そうですね。
VATE:デザインをやるために会社をおこしたのに、経営の方ばかりに手が取られて本末転倒みたいになっていた?
自分でやれない時期はありましたよね。スタッフがいてくれて、僕は営業みたいなもんでしたね。
VATE:その時には、違うなっていうふうには感じられなかったんですか。
それはね、思わないんですよ。僕はクライアントと会って話をしてること自体が面白いんです。
自分で全部デザインをして、アシスタントに手伝ってもらってという時代はありましたよ。そして仕事がどっと増えると、スタッフも増える。なら自分で出来ないですよね、物理的に。
なので、自分ではほとんどデザインをしていない時期もあるんですよ。
VATE:なるほど。
ただ、そういう時期が続いていた時に、ずっと長くいたスタッフがやめたんですよ。メインでデザインしていたスタッフなんですが、その時に、新しい人を入れるというよりも、僕が彼のかわりにデザインしたらいいやと思ったんですよね。
それで、デザインしたらまたすっごく新鮮でおもしろかったんですよ。
VATE:デザイン工場のようになっていた、という事に気付かれてから、どうされたんでしょうか?
デザイン工場を脱するのにはどうしたらいいか、と考えました。答えはすごく簡単なんですよ。
VATE:簡単なんですか?!
例えば、1千万円稼がないといけないとして、単価10万円の仕事を100本したら1千万円ですよね。でも、100万円の仕事を10本しても1千万円。
VATE:ええ。
そっちの方が工場的でない仕事、なはずですよね。そうしようとしたんですよ。
VATE:計算的にはすごくよく分かるんですが(笑)。それはなかなか難しいのではないでしょうか。
でもね、できたんですよ。