デザインには力がある。

VATE:独立当初はお一人で仕事されていたんですか?

 

いえ、もう最初からスタッフを入れてました。

 

VATE:しかしいきなりスタッフを入れると大変じゃないですか?

 

でもね、こういうことやりたいっていう夢があったわけです。

だからその夢に近いことを、やっていきたいと思った。一番近くの夢からやって、歩いて行きたいと思ってたんですよね。

 

VATE:独立された時の夢ってどんなものだったんですか。

 

それまでやっていたデザインよりも、もっとデザインには力があり、素晴らしいものがある。そして、もっと出来るはずだと思ったんですよ。

 

VATE:今より、もっと、ということですね。

 

現状がここだとしたら、やりたいところまでのその距離感みたいなものが見えて、そこまではまずやりたい。という風なものがあったんですよね。

 

VATE:独立されてからは経営的にはどうだったんですか。

 

仕事はすごく忙しくて、たくさんの仕事をしてました。そういう意味では順調にいってましたけどね。でもある時に、あれ、ちょっと間違ったなと思ったんですよね。

 

VATE:間違い?

 

なんかデザイン工場になってしまったな、という。

 

VATE:工場ですか。

 

仕事に追われたら、そうでしょう?忙しいから徹夜もする。疲れてしまうから、元気をつけようと夕食食べてクラブでどんちゃん騒ぎして、遅くに帰ってまた徹夜で仕事する。

 

VATE:ええ。

 

で、これはやっぱりなんか間違ってると思ったんですよね。こんなことをしていたら、やっぱりデザインにもっと力があると思っていた部分が、どんどん抜け落ちていくんじゃないかと。

それに気がつかなかったら、僕はデザイン工場の社長としてビルぐらい建ててたでしょうね。