VATE:その後どんな活動を?
今までのインテンショナリーズがやってないことで世の中に楔を打とうというのがメキメキと出てきましたね。アンテナがさらに敏感になったというか、ならざるおえないというか。それがアテハカの家電に繋がっていくんですが。
VATE:3人でしてるというブランディングが尾を引くというのは、どういう点でした?
例えば大きな住宅の話が来ても、それが前のメンバーの名前で出ちゃったりしてるじゃないですか。やってもいないのに僕がやったみたいな顔をするのも嫌なので、全部前のメンバーのところに流したり。そういう意味で建築というか、建物がますます遠ざかる、みたいな感覚はありましたね。
VATE:建築というものに対しての執着はけっこうあったんですか?
ありましたね。僕は建物をつくることを否定してるわけじゃないんです。それだけではなく、外部環境や内部環境は全てシームレスに繋がってるじゃないですか。
VATE:ええ。
なので、常に建物単体という目線だけではなかったんですよ。社会学的というと少し偉そうですけど、その中で空間として捉えるというのがあったんです。その辺りから携帯電話とコンビニエンスストアは絶対デザインしたいなというのが出てきたんですね。
VATE:携帯とコンビニですか。
携帯電話は自分が都市を持ち歩く感覚だし、コンビニは機能としてはものすごく集約されている。その編集能力は凄いと思ってたんですね。でも美しくないじゃないですか。だから美しくできないだろうかと考えてましたね。建物もやるけれど、全部だなと。家具とかインテリアとか建築全部だろうと。それで見渡してみると、やってる人は意外にいなかったんですよね。なので一つずつやっていこうと。
VATE:アテハカの家電のお話を聞かせて下さい。
当時東芝にいた若い社員(現リアルフリート社長の熊本氏)と話をしていて、彼もなにか今までとは違う大きなことをやりたいと。その中で単身者向けの家電商品を何とかできないだろうか、となったんです。話してくうちにいろいろ仮説を立てていったんですね。例えば家電だからといって家電量販店で売るのではなく、ライフスタイルショップで売るという事だったり。日本全国調べたらそういうセレクトショップがけっこうあるんですよね。それでその案を社内でプレゼンしてもらったら通ったんですよ。
VATE:デザインだけではなく、売り方、というよりどう買ってもらうかという部分まで設計されたんですね。
そうですね。プレゼンは東芝の30何階でずらーっと30人くらいを前に東芝の1号機の写真を見せながら、「メーカーが物を作って自分で売る、そういう当たり前のことをやんなきゃいけないと思います。」と。
VATE:いきなり説教からですか(笑)。
そうそう(笑)。商品のコンセプトは、家電だけれども食器のように食卓に合うインテリアの一部として見られるような物。必然的に家電量販店ではなく、こういうセレクトショップでこう売ってと細かい部分までプレゼンしました。