VATE:なるほど。それぞれの分野のプロフェッショナルたちが集まるわけですもんね。
でもFHAMSに来て間もないころはみなちょうど滋賀の現場に行っていて、とりあえず僕は留守番しながら事務所のペンキをちんたら塗ってました。それまでは部屋の中に一日中こもって仕事していたので楽しかったです。健康ですしね。FHAMSにきてから一番最初に設計したのが京都のバーSugerTripです。2人のオーナーも同い年なんで本当に楽しく仕事できました。
VATE:すごい環境の変化だったんですね。
このころは仕事も少なかったんでゆっくり設計をやってました。ひと現場終われば遊んで、また設計やって現場入って、終わればまた遊ぶっていうふうに。お気楽にやってましたよ。
VATE:FHAMSとして仕事をしてみて以前の職場とはいろいろと違ったと思いますが、どんな点が違いました?
建築設計事務所との違いは設計のみか設計施工かの違いがあります。これはひとことでは説明が付かない程ありますね。まず設計のみでしたら単純に設計とそれに伴う監理業務なんですが、これに施工が伴うと工事費も預かることになります。うん百万、うん千万という金額なんでそれだけ責任を負うことになります。あたりまえですが、それだけ危険も伴いますし、絶対に間違いはできないです。
VATE:なるほど。かなりリスキーですね。
施工を請け負うことで、現場で体験する様々な問題や細かなことも設計事務所では絶対にわからない事とかもありますね。
この辺は設計事務所にいたときに思っていたんですが、例えば図面を書いていて、壁の石膏ボードはどのくらい重たいのか、一度にどれくらいの枚数を運べるのかとか、どうやって搬入するのかとかまでわからないですよね。重さなんか設計事務所で資料を見ればいいことなんですが、重量があるのか、それとも手で持ってみたら以外と軽かったりするわけで、実際に手で取ってみてどうかは違うじゃないですか。自分で書いた絵を実際に組み立てて行くという仕事はやはりモノづくりの原点です。
VATE:仕事のスピードなんかも違うんですか。
違いますね。建築であれば、例えば住宅なんかだったら半年設計やって、半年現場監理って具合ですが、内装なら三週間設計やって1ヶ月施工です。ま、建築よりは工事区分が少ないのでそのぶん作業は少ないですが、やはりテナントの賃貸契約上や営業的な話で時間は無いです。そういったところから思うと、デザインすること以外は似ていて全く違う仕事ですね。
VATE:FHAMSとしてやってみて、いかがでしたか。
現場を知らなければ図面を引けないだろうっていう事は設計事務所時代では日々感じていました。なのでFHAMSがなんの経験もない、なんのコネも無いところから、なんとか仕事をみつけてそれを自ら造るっていうことが素晴らしいって思ってました。でも悩みました。友人と共にやることについても、なにか間違いがあったら喧嘩しないかとか、収入のことや、仕事のこととか、そりゃ不安ですよね。社会的な視点からすればプー太郎集団ですから。東京の設計事務所から京都の友人と共になにかすることのギャップもかなりありますし。