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VATE:やはり職人さんも、仕事の成果を見たいということですよね。

 

これは僕だけの感じ方かもしれないけれど、やっぱり、自分のこなした仕事がどうなっていくのか、それを見届けたいじゃないですか。いいことばかりでなく、不満もあるかもしれないけれど、そういうこともあって、また次につながるって気がするんです。

 

VATE:その通りですね。

 

つくる工程で関わってくれたすべての人が、最終的にどんなモノができるのか、そして、それをユーザーがどう受け止めてくれてるか、という情報を共有できる環境づくり。まずはそれからはじめないと。今やってる、materialismは、インターネットという道具をつかって、そういうこともやっていきたいなと考えてます。

 

VATE:ネットでやるメリットとはなんですか?

 

materialismのプロダクトは商品が次から次へと出来てくるわけではない。だから、現時点では直営店をもつことはあまり実際的ではないのです。けれど基本的に、いついかなる時でも自分たちのつくるプロダクトを、自分たちの手で販売していく手段をもっていたいとは思っています。ですから、ネット通販からスタートしました。ネットの場合、一度製品化されたものは、ずっと展示し続けることができる。プロダクトをすべてストックしていくことができる。そこが惹かれるところです。

 

VATE:ストックですか。

 

テキスタイルやプロダクトをネット上に公開し続けていって、コンセプトやビジョンを更新しながらも、どんどん蓄積していく。そして、つくり手はいつでもそれを見ることができる。そうなると、各々の意識のなかに、おのずと緊張感が生まれるし、今やっている自分の仕事に対するプライドや責任を感じるようになるのではないか、と思うのです。materialismはネットを使って、僕らつくり手自身に、それも促していきたいと思っています。

 

VATE:パートナーとの関係も意識されているわけですよね。

 

そうです。それも、社内とか社外とか、関係なくにです。僕たちの仕事は、自分たちだけでは決して完結していません。プロダクトが出来上がるまでの工程で、外部の職人さん達の力を借りています。その人たちに、安易に「これ、いつまでにいくらでやってよ」という仕事の頼み方をしたくはありません。どういうプロダクトをつくっていくんだ、という意思や情報を彼らと共有した上で、一緒に仕事をしていきたいのです。