VATE:草木染めとはどういったものなんですか?
植物や昆虫などから、色素を抽出して、糸や布地を染める染色法です。自然に優しい染色法ですね。
VATE:職人さんたちに混じって作業されていたわけですね。
大学時代の前半には布地ができるまでの工程をひととおり現場で体験していました。作業自体はどれも地道なものばかりでね。染織の仕事って、アイデアを実現するまで、手間と時間がかかるなあ、と思っていました。
VATE:大学の後半はどうされていたんですか?
大学2回生の終わり頃、残りの2年間で被服の勉強をしておきたいな、と思い3回生になったら専門学校の夜間部に入学しようと考えました。父の知人に相談をしたところ「どうせやるなら、本場のパリに留学してESMODという学校で学んだらどうか」と薦められたんです。
VATE:それでどうされたんですか?
家族に話したら、父もその話に乗っちゃいましてね(笑)。親には話してなかったのですが、僕も大学卒業後は海外で一人暮らしをしてみたいなって思っていましたから「これは、おいしい話やな」と思い、ESMODに入学しようと決めたわけです。
VATE:フランスに留学されたわけですが、言葉の不安とかはなかったですか?
なかったんですよ…。技術を学びに行くのだから、言葉が通じなくても、目で見て理解すればなんとかなるだろうって考えてました。
VATE:前向きですねぇ(笑)。
フランスでは実際にどのようなことを学ばれたのでしょうか?
スティリズム科とモデリズム科の両方のクラスに在籍しました。スティリズム科ではデザインを考えて、それを画であらわすための訓練を。モデリズム科ではデザイン画をもとに、型紙を製図して服に縫い上げるまでの訓練をしていました。両方を同時に学ぶダブル・コースはハードでね…。一年目は、辞めてく人が多かったですよ。
VATE:そんなに大変だったんですか。
課題の提出が2週間毎にあって、それに追われるんですよ。それに加えて僕には日本の大学の試験もあって、その時期には丸1ヶ月ESMODを休まないといけなかったですから、その前後は大変でしたね。1年目はホームステイをしていたからまだ良かったんですが、2年目からは一人暮らしをしていましたから、忙しい時なんかはベソかきながら夕飯つくってました。