VATE:なんですか、実戦って(笑)。
ヤクザ捕まえて、ケンカしてもらう。ケンカしてくれへんかって頼んで、してくれるもんやったら誰でもどついたるって感じやったかな(笑)。
VATE:それって自分の腕を試すみたいなことですか?
そうやね。その当時やってた武道の師範には「俺らがやってるもんっていうのは活殺自在のもんなんや。」と言われるわけ。活殺自在っていうのはすごく好きな言葉なんだけど、でもその武道は全部寸止めだったから、本当かどうかわからない。だから、江戸時代で言うところの試し斬りみたいなもんで、新しい刀を手に入れたら、ほんまに切れるかどうか確認してみたくなる(笑)。だから夜な夜な歩いて、普通の人間どつくわけにはいかへんから、ヤクザ相手に丁重にお願いして、試し斬りさせてもらってたわけ(笑)。
VATE:しかし…そんな事してて大丈夫だったんですか?!
そりゃトラブって大変だった事も何回かあるけどね。
VATE:それでもやめようとは思わなかったんですか。
まぁ当時はそれが生きがいやったからねぇ(笑)。 俺らの時代は音楽の仕事やってるとケンカなんて、もうしょっちゅう。駐留軍の仕事してる時もよくあったよ。でかい米兵が演奏中に絡んできたりしたら、一発でどつき倒したりして。その当時は空手とかあんまりメジャーじゃなかったから、空手の心得はあるにしても、小さいヤツが大きいヤツを一発で倒したりするとビックリされる。あいつら空手とニンジャの区別がつかへんかったから。忍術の格好とかしたら、飛んで逃げていった(笑)
VATE:一夜にしてヒーロー、みたいなもんですね。
いきなり格があがるから。まぁそんな連中がよく演奏を見に来てくれたりしたよ。もう毎日そんなんばっかりで、3日間ケンカしないと不安になるぐらい(笑)。でもその当時はベトナム戦争中で仲良くなったヤツを見かけなくなって「あいつは?」なんて聞くと「戦地に行った。」とか聞かされて。そんな時代だった。
VATE:現在も格闘技をされてるんですよね。それとも試し斬り?!
いまは空手とかボクシングとかやってるから、絶対ケンカなんてしない。何故かって言うと、思いっきり相手をどついたり、蹴ったりしてるから人の痛みがよくわかる。相手の痛みもわかるし、自分がどつかれたら、こんなにイタイもんかってのも実感するしね。