作品から

VATE:それでどうされたんです?

 

就職する以外に何か選択肢はないのか?と暗中模索を繰り返していました。そうするうちに、ネット上で神戸をベースに国際フォトジャーナリストとして活動する宇田有三さんの作品と出会い、これだ!という直感的なひらめきから、フォトジャーナリズムの世界へ飛び込むことを決意しました。

 

VATE:ずいぶんと大きな転機だったんですね。

 

そうですね。決まってからは、写真を学ぶためにカナダへ留学をすることになりました。

 

VATE:留学先をカナダにされたのは何故ですか?

 

カナダへの留学にこだわっていた訳ではないんです。最初は、自分も宇田さんが卒業されたアメリカのボストンにある写真専門学校に行こうと考えていました。ただ、調べてみると2年間の学費、現地での生活費、機材に掛かる費用等、必要とされるお金の額が遥かに自分の予算を超えていたので、アメリカ行きは断念せざるおえませんでした。他の選択肢を探した結果、幸いにも費用面、教育面で申し分のない学校が見つかったんです。それがたまたまカナダでした。

 

VATE:学校ではどのようなことを学ばれたんですか?

 

カナダの学校(Loyalist College)では、写真の技術的指導のみならず、取材の方法、新聞記事の書き方など、フォトジャーナリストになるための基礎知識を実践を通してを学びました。

 

VATE:フォトジャーナリズムとは何ですか?

 

僕が理解するところでは、被写体をできるだけ客観的な立場から撮影し、その場にあるものを、ありのままの状態で、見る人に伝える。いわゆる日本の報道写真に匹敵するものであると思います。

 

VATE:海外の新聞、例えばヘラルドトリビューンなどを見ていると、

日本の新聞の写真とは全然違う視点の写真だな、と思うのですが、

その違いというのは何に起因していると思われますか?

 

日本では、まだまだ写真がニュースの分野では文章と同等の地位を獲得していないような気がします。それに対して、北米では写真がニュースの世界で文章に負けることなく確固たる地位を獲得している。ご指摘の点はこの辺の所に深く関係しているような気がします。

 

VATE:なるほど。

 

北米では写真家に自分の意思なり視点なりを一枚の写真に盛り込む自由度があるのに対し、日本では、それが許されるまでに至っていない。その結果両者の写真の間にご指摘されたような違いが生まれてくるのではないか、というのが私の個人的な考えです。