VATE:確かに雲行きが怪しいことをみながうっすら感じてきた時代ですよね。
だから人々が未来について不安に思ってるっていうことをテーマにするべきじゃないですかっていうようなことを2005年ぐらいに言ってました。
VATE:実際に世に出たコピーはどんなものだったんですか?
「未来という言葉に、不安が含まれているのなら、それも一緒に共有したい。(みずほファイナンシャルグループ)」というものです。
VATE:なるほど。
あとはスーパーのダイエーさんですかね。イオンのグループになってダイエーが目立つことはなかったんですけど。
VATE:それはどのようなお仕事だったんですか。
中内さんの時代が終わって、再出発するぞっていう時のダイエーさんの企業スローガンを考える、という仕事です。それでスーパーのテーマと言ったらなんだって考えた時に、これはご飯だなって思ったんですね。
VATE:ごはん?
人がスーパーに毎日とは言わなくても、いつも行こうって思える、いつも行く理由ってやっぱり食品を買いに行くわけで。だから、スーパーとはご飯のためにまずは存在しているのではないかと。もちろんたまに自転車とかを買う時もありますけど、まずはご飯だなと。
VATE:確かに。
なので「ごはんがおいしくなるスーパー」というのを作ったんですね。その時にやっていたのは、お金、未来に対する不安って考えたり、スーパー、、おいしいご飯。あるいはご飯が美味しくなるっていうようなコンセプトワークを自分の中で、編み出していた時代でした。それを理屈だけではなくて、ご飯が美味しくなるスーパーがあったらいいよね、ダイエーさんがそんな風になったらいいよねみたいな、こちら側の願いみたいなものですけど、そういうことをやってましたよね。
VATE:ロジックだけではなく、パーソナルな想いも仕事の中に取り入れて新しいアプローチを編み出されていたんですね。パーソナルな想いってどうやって感じるものなんでしょう。
今世の中がどうなっている、それこそさっきの未来はバラ色ではなくちょっと曇ってきたな、みたいな事を掴むためにパーソナルな体験をたくさんしようとしていました。つまり、旅をするとか、今にして思えばお金を使いすぎたなと思ってるんですけど、いろんなものを買ってみようとか、自分の体験を増やすっていうことですね。
VATE:なるほど。
決して好きなわけではないけど、SNSを見る時もどんな人がどんな気持ちでこれを言ってるのかなっていうのをいつも見てますね。この人は何でこういうこと言ってるのかな、どんな人なのかなっていうのを想像する。何か文句を言ってる人がいたとすると、この人は日常生活では何をしてる人で、何歳ぐらいの人かな?と考えてみる。世の中の人にはどんな人、どんなグループの人がいて、どんな感情になってるかなっていう。そんなハッキリとしたものではないにしても、感情のヒートマップみたいなものが頭の中にうっすらありますね。