VATE:本当にすごい人ですね。
すごいですよ、だって今の私からCeliaの年にはまだ40年以上もある!そう思うと先の不安ていうのは、そういう意味ではあまり無いのかもしれません。目標に出来る、私よりずっと年上のすぐれたミュージシャンが、世界にも日本にもたくさんおられる。あの年まで、音楽やっていられるんだ、私もあそこまで、あれ以上に、ずっと音楽と生きていこう、そういう夢を持てた。おばあちゃんになっても、誰かに音楽を提供し続けているミュージシャンでありたいです。
VATE:ずっと歌い続けて来られたんですね。
歌いつづけて、というか、ずっと音楽を呼吸して今まで生きてきたのだと思います。私=音楽であり、音楽=私だった。そしてそれはこれからも、ずっとそうでありたい。死ぬまで現役でいたい、最後の瞬間に、ああ良い人生だった、と思えるように、音楽と連れ添っていきたい。やり続ける、ということは、本当に、本当に難しい、一番難しいんです。でも、やり続けていたい。
VATE:最後になりますが、これからの夢をお聞かせ願えますか。
夢は、やはりずっと歌い、音楽と共に生きていきたい、ということです。が、もう一つ大きな夢があります。いつの間にか、人の手による音楽が普通の人から遠い存在になってしまいました。昔は、もっと身近にあったかい音楽があったと思うんです。大きなスピーカーのあるジャズ喫茶、歌声喫茶、ライブハウス。でも私のお客さんでも、ライブハウスはどうも敷居が高いし雰囲気暗いし、行きづらいからカフェの時に行く、という人が多い。でも、ライブハウスって本当は誰がいつ行っても、良い音楽がある、居心地の良いとこだと思うのです。
VATE:うんうん、確かにそうですね。
もっと誰もが「あ~今日はちょっと疲れたし、仕事帰りに音楽ちょっと聞いて帰ろかな。」「あの店行ったら誰か良い音楽やってるから、あそこに行こ。」とそんな場所があちこちにあって、聞く人も演る人もが音楽をもっと肌に近いところで感じ合える、そういう時代を作っていきたい。聞く人もどんどん耳が肥えてきて、演奏側もつまらない音楽は出来なくなってきます。それを見てまた若いミュージシャンがあの店に出たい、みんなに聞いてもらいたい、とがんばる。
VATE:音楽を本当に愛する時代ですね。
音楽は演奏する人だけでも聞く人だけでも成り立たない。両方があって初めて音楽、と言えるんです。聞き手も演り手も、その次の世代も、みんながお互いに成長し合う。そういう良い循環を作りたい。物事は生まれて、壊れて、また作り直して、その繰り返しです。今、私と同じ30代くらいの、音楽も分かってきて、実績も少しずつ出来てきた次を担う世代のミュージシャンがその流れを新たに作っていかなきゃならないと思っています。