人生設計なんていう言葉がありますが、明日は本当にやってくるんでしょうか。
いま、この一瞬こそが全てではないかと思う時ってありますよね。
今回はある出来事をきっかけに自分を見つめ直し、生き方をまったく別のものにされたミュージシャン、
奥本さんにお話を伺いました。
VATE:奥本さんは小さい時から音楽をされてますが、それはどうしてですか?
どうして、か・・・。難しいですね・・・。
物心つく前から家のピアノを自然と触っていて、3歳で習い始めて、中学からは吹奏楽部に入ってトロンボーンを始めてそれで音大を目指して。結局、音楽が持つ世界が好きで、興味が尽きないからなんだと思います。
VATE:実際に音楽を意識されたのはいつ頃からなんですか?
トロンボーンで行く、と思ってた高2頃だと思います。が、高3になって、私って音楽で行くことに疑問を持たずに来たけど、本当にそうか、本当に音楽が好きなのか考えはじめました。音楽はそれくらい、私にとって当たり前に存在していたんです。
VATE:それで本当にやりたいことは音楽だと?
その時は結局、ノーでした。本当に好きかさえ分からない状態でこのまま行けば、間違いなく音大を出る頃には音楽を辞めてしまう自分が見えた。一度離れようと、決意しました。
VATE:それで音楽以外になにがやりたかったんですか。
それです(笑)それまで音楽ばっかりで来たので、見つめ直すのにもえらい時間がかかった。そうすると、何故か化学だけが残った。親が化学の仕事をしていたからかもしれません。
VATE:それでどうされたんでしょう?
とにかく化学を徹底的にやってみよう、と。その時すでに高3の6月。高3の夏休みは、もうそれ以上勉強出来ないというくらい勉強しました、一日15時間、毎日!いやーもうあんなに勉強できへん、一生分やった。(笑)
VATE:ははは。その後、大阪府立大学へ入学されますね。
さらに大学院へと進まれますが、じゃあ将来はもう化学でやっていくんだと。
そうですね、実験系化学の研究室で、髪から薬品臭がするくらい死ぬほどやりました。楽しかった!その頃には音楽は趣味が一番良い、と思ってました。
VATE:その後メーカーの分析室に勤務されるわけですが、
そんな奥本さんが音楽に戻るきっかけっていうのは何だったんですか?
会社勤め1年目の冬、地元・神戸で阪神大震災がありました。その日はたまたま有休を取っていて、寝ていたところに本棚が倒れてきた。でも間一髪で逃げて無傷。その時何で逃げられたのか今でも分からない。何かに守られてる、と思いました。