VATE:一緒に演奏する、というのはどんな体験なんですか?
どういった意味で勉強になるんでしょう?
そうですね。まず、ムードの良さ、音楽を楽しんでおられる感じがすごく伝わってきます。気持ちにゆとりがあるというか。あと、音の良質さに圧倒されます。大きくても、やかましくない、澄んだ音、いい流れに流されていくような感じとか。その場がいい気でいっぱいになるんですよ。もちろん、聞き慣れない新しい響きやフレーズなども勉強になりますし。外から聞いているのより、それが体感できました。そして、音楽てこんなに幸せ感のあるものなんだなあ~、と再認識して、明日から頑張ろう、と。この手の幸せを振りまけるようになるのが夢ですね。全てにおいてまだまだ修行が足りませんが。
VATE:大塚さんが尊敬されている、または好きなミュージシャンは誰ですか?
サラ・ボーンさんとナンシー・キングさんかな。どちらもボーカルですね(笑)。歌うように演奏したいからですかね。メロディを美しく歌う方が好きなんです。
VATE:ベースというと、あまり表に出てこない、というか裏方とか影の支配者のようなイメージがあるのですが、音楽でのベースの存在ってどんなものなんですか?
おっしゃる通り影の支配者です。というか司会者かも?
みんなをわからんよう~にいい位置にもっていき、居心地の良い状態で話をしてもらい、それを見たお客さんも喜べばかなり幸せ、というのが私の持っているイメージです。わからんよう~に、が自分の中ではカッコいいんですが、バレバレの時もよくあります。こういうイメージはミュージシャンの数だけ考えがあると思うので、他のとらえかたをする人もいるかもしれませんね。
VATE:プロとして音楽をやると、気分が乗らないときも演奏しないといけないでしょうし、例えば彼氏とラブラブで幸せ満開の時に失恋の曲をやる場合もあるわけですよね。
そんな時、どう気分をそちらに持っていくんですか?プロだとそつなくこなせてしまうのでしょうか。
実際、そんな経験はありますか?
ありますね~。ステージに上がったら音楽の事だけに集中するように努力はしますが、そうはいかないこともあります。そういう時は被害を最小限におさえるように頑張ります。いいときにどれだけすごいかでなく、駄目なときにどれだけ状況を好転させられるかがミュージシャンの実力だ、とおっしゃる方もいます。私も確かにそうだな、と思います。あと、一人で演奏してるわけではないので、メンバーに助けられ、助け、ということもあります。でも逆に、悲しみのどん底にいる場合でも、演奏が楽しくなってくると、演奏中だけでも悲しいことを忘れられる、というメリットもありますね(笑)。
VATE:曲への感情移入は?
曲への感情移入はだいたいイントロが始まったあたりで、そのムードを見て演技に入っているようです。劇団員ぽいですね。
例えば歌詞を知ってる悲しいバラードを演奏してたとするとすると、「ああ、この人は昔好きやった人のことを思い出してはるにゃなあ~、こりゃ何ともいえんな~」とか歌詞をたどりながら思って、自分の以前の体験とかと重ねたり、想像したりして「キューン、ぽろっ」となりながらやるんです。ときどきうまくいくとかなり満ちた気分になります。