VATE:では辞める時はさほど不安はなかった感じですか?

 

そうですね。家族も理解がありましたので、どうしようもなくなったら助けてくれるかなと思うと気は楽でした。実際、演奏で足りない分はバイトで。

 

VATE:会社をやめてから、どんな活動されてたんですか?

 

いろんな人に呼ばれて、ライブハウスやパーティーや結婚式などで演奏してました。今とあまり変わりませんね(笑)。ジャズの場合、決まったバンドで毎回演奏するわけではなく、行く先々でいろんな人と演奏するんです。だいたいの場合、リーダーというか仕事を持ってくる方がいらして、その方が、今回誰と演奏しようかな~と考えて、メンバーを集めることが多いです。ベースは、どちらかというとリーダーになるより、呼ばれる事の方が多いので、極端な話、初対面で会った三分後には演奏してるということも、すくなからずありますよ。

 

VATE:初対面で会った人と息があわない時とかはどうするんですか?

 

そうですね。とりあえず無難にシンプルに曲をすすめていきますかね。息があわないということは、細かいニュアンスとかがお互いに通じない感じになるんで、演奏上の誤解も多いことがよくあるからです。あと、そういうときは自分のノリやペースを大切に、でもそれを人に押し付けないようにできたらいいなと思っているんです。今までの経験上、押し付けすぎたり、自分をなくしたりしたら失敗してます(笑)。でも逆にはじめて演奏するのにすごく息が合うときは、笑いそうに嬉しくなりますよ!

 

VATE:練習とか理論とかは独学ですか?

 

練習などは今まで何人かの先生について学びました。あと、外国のミュージシャンが来日されると、あつかましく楽屋に行き、ここがわからないので教えて欲しいとお願いして、習ったりしました。みんな親切に教えてくださるいい方たちでした。ミュージシャンの方のひとつの手振りだけで、はっと謎のとけることもあるんですよ。でも謎はいっぱいあるんで、ひとつ解けてもやることは山積みですけど。

 

VATE:楽屋エピソードなどあれば聞かせて下さい!

 

某所に夜中毎日ジャズを演奏しているお店があって、そこに演奏後の外国人ミュージシャンをみんなでお誘いするんです。そこで、一緒に演奏していただいたり、アドバイスをいただける機会もありました。彼らの演奏を聴くのもそうですが、一緒に演奏していただくのはまた違った意味ですごく勉強になります。楽屋でサインをもらったりするときに、実はこんな店があるんだけど後で来ないですか、とみんなでお誘いして、「来はるかな?」てワクワクして待つんです。でも先方にも予定がありますから、一晩中待ってもいらっしゃらないことも。そういう時はぐったりしながら皆始発で帰ります。なつかしい思い出ですね。